……本当は、学校なんて行きたくないのに。
来年は受験生ということもあって、休むことが許されない。
ふと道端には、たんぽぽの花が元気に咲いていた。
そのすぐ横には、丸くてふわふわとした白いたんぽぽの綿毛。
そのたんぽぽをちぎって、口元へと近づけてフーと息を吹きかけると、たくさんの綿毛が風にのって空へと自由に羽ばたいていく。
私も飛んでいけたらいいのに……。
なんて、バカなことを考えてはまた深い溜め息をついた。
この町は、田舎過ぎて不便なところだらけ。
人通りは少ないし、お店も少ない。
コンビニも徒歩で30分かかる場所にある。
バスや電車は1時間に1本来る程度。
360度見渡しても田んぼや畑、山に囲まれている。
この世界はとても狭くて、時々どこか遠くへ逃げ出してしまいたくなる。
そんなこと思いながら、また1歩また1歩と行きたくもない学校へと足を向けた。