「おはよう」
……⁉︎
い、今、葉山くんが私に挨拶してくれた?
思いがけずのことで、びっくりして身体が石のように固まってしまう。
人違いかなって目線だけ葉山くんの方を向けると、彼の目としっかり合った。
「おーい、星乃?」
葉山くんは私の目の前で手をひらひらさせて、私は我に返った。
どうやら、人違いではないらしい。
挨拶してくれた葉山くんに、“おはよう”と返したい。
なのに……。
「……」
喉まででかかっているのに声にはならなかった。
話すのは諦めてその代わり、葉山くんに小さく頭をペコリと下げると、それを見た彼は言った。
「うん、おはよう」
えっ⁉︎
今の伝わったの?
声出していないのに。