その日の夜。

窓を開けて星空を眺めながら彼からの電話を待つ。

昨日、楓くんと一緒に見た星が綺麗に輝いていた。

今日は、たくさん良いことがあった。

唯花ちゃんに初めて話せたこと。

ずっと話したいと思っていたから、それを実行できて嬉しかった。

以前までは、学校どころか外に1歩踏み出すと声が出なくなっていたから、今では少しずつ前に進んでいると自分でも思う。

それに良いことはまだあって、喫茶店でまた楓くんと会えたこと。

いつかと同じようにカフェオレを頼むと、またラテアートがしてあって、今度は大きなスターが2つ表面に描かれていた。

楓くんがしたと言っていたけど、私が星が好きなことよく知っているし、徐々にラテアートが上手くなってきているのを肌で感じて嬉しくなった。

そして、もう1つは……。

ちょうど、手に持っているスマホが音をたてて、表示を見ずにすぐに電話にでた。

『もしもし、小春?』

耳元で聴こえる彼の声。

「も、もしもし、楓くん?」

『うん』

夜、楓くんと電話で繋がれることだ。

「バイトお疲れ様」

『ありがとう、小春の声聞けただけで疲れが取れるよ』

その楓くんの言葉に嬉しくなって、胸のドキドキも増す。

声しか届かないはずなのに、速くなる鼓動が伝わってしまいそうだ。

それから、楓くんがバイト先から家に帰るまでの間、いろんな話を交わした。

始業式で校長先生の話が長かったなどくだらない話や楓くんがバイト先でしてくれたラテアートのことなど。

一通り話し終えた頃、あの話題になった。