夏休みが終わるまで、あと数時間もない。

でも、楓くんに会って良かったと今では思う。

あんなに会わないようにしていたのが、なんだかバカらしく思えた。

そろそろ家に着く頃だった。

「なぁ、小春」

ふいに楓くんは立ち止まって私の名前を呼んだ。

「うん?」

私も足を止めて楓くんを見上げた。

「小春はまだ、星みたいな人になりたいって思ってる?」

その問いに、私は力なく頷いた。

「……私、みんなとは違うから。だから、他の人よりも頑張らなきゃて思うの」

そう伝えると、楓くんは静かに首を振った。

「無理して頑張る必要なんてないよ。だって、小春はこんなにも輝いてる。あの1等星みたいに」

楓くんは空に向かってとある星を指差した。

そこには、夏の大三角がちょうど真上にあってどこの星よりも明るく輝いている星があった。

「楓くん……」

私、もう会えない理由を探すのはやめるよ。

本当は君に会いたくて仕方なかった。

それに、楓くんの言葉1つで気持ちが嬉しくなっているのがなによりの証拠。

触れそうで触れない肩も、手を繋ぎたいと思う心も。

やっぱり、私……。

楓くんが好きだよ。