【ごめん】
そう送信すると、すぐに既読になって返事が返ってきた。
【そっか。夜遅いし流石に無理だよな】
脳裏に悲しそうな表情をしている楓くんが浮かぶ。
悪いのは私なのに、楓くんの優しさが身に染みる。
なんだか罪悪感が押し寄せてきて、気付いたら速攻でメッセージを送っていた。
【やっぱり行く】
急いでパジャマから普段着に着替えると、スマホを手に階段をバタバタと駆け降りた。
「小春、どこ行くの?」
リビングからお母さんが顔を出したが、立ち止まらずにこう告げた。
「ちょっとコンビニ行ってくる!」
楓くんに会いに行くとは言えなくて、嘘をついた。
コンビニは徒歩で30分かかる場所にあるし、往復で1時間。
行く気は微塵もない。
でも、楓くんのことになると勝手に体が動いてしまう自分がいる。
「夜遅いし、明日にしなさい」
そんなお母さんの言葉をスルーして家を飛び出した。