家の前で楓くんとは別れて、急いで中へと入る。
「小春、こっちよ!」
私に気付いたお母さんが手招きして、慌ててリビングへと向かうと仕事から急いで帰ってきたであろうスーツ姿のお父さんがいた。
そんなお父さんが見つめる先には……。
「もっちー!」
そこには、毛布の上でもっちーがぐったりと横になっていた。
さっき、お母さんから連絡があったのは、もっちーが危険な状態ということだった。
ついこの間、動物病院で、そんなに長くはないと知らされてから覚悟はしていたけど、やっぱりさよならは嫌だよ。
さよならなんてしたくないよ。
「……っ……」
ただただ悲しくて、涙が溢れ出す。
私、もっちーに話したいことたくさんあるんだよ。
学校のこととか、楓くんのこととか、唯花ちゃんのこととか。
今日の出来事だって、伝えきれないくらいいっぱいあるよ。
それに、もっといっぱい遊ぼうよ。
夏休みに入ったから、いくらでも遊んであげられるよ。
私にとって、もっちーはなんでも話せる友達であり親友でもあるんだよ。