「ところで、小春は宿題進めてる?」

夏休みに入って、大量の宿題が出されていた。

「ほとんど終わったけど、あと1つなんにも手をつけてないものがある」

「えっ、なに?」

「読書感想文」

「うわっ、俺もそれイヤだわ」

「だよね。本を読んでもどう書けばいいか分からない」

夏休みになると、毎回頭を悩ませてしまう宿題だ。

「俺、それどころか本読む時間がない」

楓くんは、夏休みに入って以来、学校がある時に比べシフトが多く入っていてバイト三昧の日々。

「バイト忙しい?」

「う〜ん、夏休みに入って、親子連れや学生のお客さんが増えたかな」

「そっか……」

それ以上の言葉が見つからなかった。

今日までの3日間、毎日楓くんに会えて一緒に作業できて楽しかったのに、明日になればそう簡単に会うことは難しい。

本当は、夏休みに入ったのだから学校のことは忘れて楓くんといろんなところに行って一緒に楽しい思い出を作りたい……なんて。

楓くんはバイト頑張ったり、ご両親の畑を手伝ったりしているというのに、こんなこと思ってしまう自分が情けない。