昼からは、楓くんも加わって一緒に作業をした。

きゅうりを収穫しながら、近くにいる楓くんを見てみると、やっぱり農家の息子とあって慣れている様子だった。

朝からバイトで疲れてるはずなのに、ご両親の畑を手伝う楓くんは優しいし、真剣なその姿はなんだか……。

「なに?」

じっと見つめてしまっていたのか、楓くんが私の視線に気付いた。

『えっ、いや、そ、その……』

恥ずかしさのあまり咄嗟に視線を逸らしては、しどろもどろになる私。

少し離れた場所に唯花ちゃんやおばさんたちがいるためか声を出すことは難しくて、手話をするがその動作はぎこちない。

楓くんは、手に持っていたハサミをコンテナに置いて私に近づいた。

「具合でも悪いの?」

その問いに、“違う”と言うふうにブルブルと首を横に振る。

「じゃあ、どうした?」

楓くんに問い詰められ、言い訳なんて思いつかず恐る恐る手を動かした。

『……か、かっこいいなって思って』

「小春まで俺をからかってる?」

『か、からかってなんか……今のは、本当のこと伝えただけで……』

その先の言葉を伝える前に手話をする動きが止まった。

だって、目の前には顔を赤らめてる楓くんがいたから。

初めて見た彼のその姿に、ドクンと脈が打つ。