そこには話の話題となっていた楓くんの姿があり、「げっ!」と驚いた声をあげた凛ちゃん。

「は、葉山くん、帰ってきてたの?」

凛ちゃんと同じく唯花ちゃんも動揺している。

「今さっきな。玄関に入ろうとしたら縁側から喋り声聞こえると思って覗いてみると、俺の悪口ばっか言ってたな」

「い、言ってないよ! 小春ちゃん思いの優しい人だなって」

「そうそう!」

上手く話を誤魔化す唯花ちゃんに同情する凛ちゃん。

「2人して俺をバカにしてるだろ」

「「してないよ〜!」」

唯花ちゃんと凛ちゃんは、声を揃えては甲高い声でケタケタと笑う。

「……まったく」

そんな2人を楓くんは呆れて見ていた。

後ろから誰かの足音が近付いたかと思えば、先程まで料理をしていたおばさんがいた。

『あら、楓。帰ってたの?』

私たちの会話が聞こえていないおばさんは、今頃楓くんが戻ってきたことに気付いたのか手話で伝える。

『早く家に上がってらっしゃい。お昼ごはんできたよ』

『今、行く』

楓くんが玄関に向かったところで、私たちも腰を上げた。