放課後になって、またあの畦道を通って真っ直ぐ家へと向かう。

でも、朝とは違って足取りは軽やかだった。

「ただいま」

家に帰ると、喉のつっかえは自然に消えスッと声が出た。

キッチンに顔を出すと、お母さんがいて仕事帰りに買い物に行ったのか食材を冷蔵庫にしまっているところだった。

「おかえり、小春。今日の夜は、小春が好きなシチューよ」

「やったー!」

「手洗って、宿題でも済ませなさい」

「うん!」

ほら、お母さんとこんなにスラスラと話せる。

お父さんは仕事に行っていて今はいないけど、お父さんとも話すことができる。

外では一言も話せないのに、家族だけなら話せる私。

自分でも不思議なんだ。