『楓くん、大丈夫だよ。気にしないでいいよ』
声が出ない代わりに手話で伝える。
『それより、おばさん大丈夫だった?』
「あ〜、それがさ、昨日からずっと落ち着かずにそわそわしてる」
『そっか……』
おばさんに心を痛める。
きっと、今も昨日の出来事を引き摺っているかもしれない。
いつか楓くんが辛い過去を話してくれたこと。
とある出来事によって、楓くんはお母さんの笑顔を消してしまったこと。
そして、昨日、また新たにおばさんの笑顔を消してしまった。
そう考えただけで物凄く胸が痛くなる。
『ごめんね、楓くん。おばさんのこと深く傷つけちゃって……楓くんがおばさんを悲しませないようにしてたのに、それを壊してしまうような形になってしまって』
「ううん。小春が謝る必要なんてない。全部、俺のせいだから」
どうして、楓くんはこうなってしまった責任を自分のせいだと言って1人で抱え込もうとするのだろう。
本当は違うのに。
楓くんのせいではないのに。