心の中では嵐が吹き荒れるようにめちゃくちゃだけど、澄ました笑顔でローザ様の話を聞いている。妃教育の賜物だと心底思った。

「そこでイライザにわたくしの気持ちを伝えていただき、今では一緒に買い物をするくらい打ち解けることができたのですわ! これもすべてラティシア様のおかげでございます!」
「実の父親である私もラティシア様の認定試験の際に、イライザとの関係を取り持っていただきました。私たち親子が笑って過ごせるのはラティシア様のおかげです」

 アリステル公爵本人からも強力な援護射撃をしてもらえた。確かにイライザ様の恋が実るように協力したけれど、まさかここで効果を発揮するとは思わなかった。

「ラティはまた信者を作ったのか……ライバルばっかり増えるね」
「いえ、あの……申し訳ございません……」
「まあ、いつでも僕を最優先してくれるなら構わないよ」
「はい、肝に銘じます……!」

 アリステル公爵が私を褒めまくっている間、こっそりフィル様とこんなやり取りをした。やっとアリステル公爵が口を閉じると、今度はローザ様が凛とした声で宣言する。

「此度の認定試験において、わたくしはブリジット様を不合格といたします」