「もう結果は出ているけど、せっかくだからアリステル公爵とコートデール公爵からも結果を聞こうか。続けてくれる?」

 フィル様はブリジット様を無視して、アリステル公爵の審判(ジャッジ)であるローズ様を促した。

「では僭越ながら、わたくしローズ・アリステルがご報告いたします」

 ローズ様は見事なカーテシーを披露して、一輪の百合のように佇む。先日も会ったばかりだけど、変わらず優雅な仕草に目を奪われた。

「わたくしは皆様がご存じの通り、後妻でございます。恥ずかしながら、義娘(むすめ)イライザとの関係に悩んでおりまして、ブリジット様へご相談したのです」

 私はその言葉に固まった。まさかそれが判定試験の内容だと思っていなくてイライザ様との橋渡しをしてのだが、これは判定試験に影響があるのだろうか?
 ちょうど王妃様から与えれられた仕事を手伝ってもらっている時だったので、軽い気持ちで引き受けたのだけどマズいかもしれない。

「ブリジット様からは『お茶でも飲みながら会話をしたらいい』とアドバイスをいただいたのですが、あまり会話が弾まず……結局なんの進展もしませんでした。その頃、イライザがフィルレス殿下の事務官としてラティシア様のお仕事もお手伝いしていると聞き、王城へ出向いたのです」

 ああ、ダメだわ。これは完全にアウトなやつだ。思いっ切り認定試験に関与しちゃってるわ!