「……聞きたいんですが」

「なんだい?」

「私がやったことは、罪なんでしょうか」

「やったことって、これ?」

下を指差す彼。転がっているのは、もう生きていない男の死体。

「はい。これです」

私は裸足で踏んでやった。生あたたかいから気持ち悪いが、踏んでやらないときがすまなかった。

「私は人を今殺しました。これは罪ですか」

「……」

「私はこの男に殺された。自分が死んだと理解するいとまもないほど一瞬……いえ、一瞬もないほどあっという間に、殺された。それは心理や†からかけ離れた死だった。そうでしょう?」

「そうだよ」

「だから私は死を受け入れられなくて、死ななかった。こうして自分を再構築して、自分に必要だと思うものを手に入れて、手に入れたものでこの男を殺した。私の死を殺した。

私は死を与えられて腹立たしかったんです。けど、それは男にも言えることじゃありませんか?」