「それではハイレット様、私の望みをお話てもよろしいでしょうか?」
「は……ええ、お願いします」

 そんなものどうでもよくなっていた私は、ぞんざいに返答する。
 しかしロザリアは瞳をキラキラさせながら、期待に満ちた表情で言葉を続けた。

「実は、帝国で魔道具の販売を推進したいと考えているのです。そこでハイレット様に担当窓口となっていただき、販路を確保したいと考えています。ご協力をお願いできますか?」
「…………」

 ロザリアのまったく色気のない提案に、即答できない。
 ラクテウス王国の魔道具販売など知ったことではないし、勝手にすればいいではないか。そんなことで皇太子である私の手を煩わせるなと、いつもなら鼻で笑って終わるところだ。

 だが、今はロザリアを妻に迎えるため、興味のあるふりをして関心を向けるようにしなければならない。面倒だが協力するふりをするしかなかった。

「販路の確保ですね。承知しました。私でできることであれば、なんなりと申しつけください」
「本当ですか! ハイレット様、ありがとうございます! 今日一番の収穫です!」

 そう言ってロザリアは花が咲くように笑った。