「ファンク、呼ばれた理由はわかっておるな?」

 私のひと睨みでファンクは縮みあがっている。血の気のない顔色でガタガタと震えていた。

「わ、私は……私は悪くありませんっ!! あの魔道具の設計書はこの商人から買ったのです! あんな不良品を売りつけたこの男が悪いのです!!」

 ファンクの後ろには呆れ顔の商人が立っていた。重要参考人だというから入室を許可したが、一介の商人にどの様な責務があるというのか。

「この男が持ってきた魔道具の設計書を購入したのです。これで武器の殺傷力が上がるというので早速採用しました。その際にこのような副作用が出るなど何も聞いておりません。こんな欠陥品を売りつけた、この男が大罪人なのです!!」

 ロザリアは自身で設計からこなしていたが、百歩譲って他者から設計書を購入したのは認めよう。
 だがその後の行動が問題なのだ。

「設計書の購入に関してはどうでもよい。その魔道具を開発していく段階で、研究者から副作用について報告があったであろう。何故それを隠していたのだ!!」
「隠してなどおりません! 副作用が出るのは十人中三人程度です! たった三割の副作用なら問題ないはずです!」
「馬鹿者っ!! 何故その判断を騎士でもないお前が問題ないと判断するのだ!! 三割もの騎士が動けぬ様では国防に関わるのだぞっ!! お前はこの国を潰したいのか!?」