想像以上にひどい状況だ。本来であれば、こういったことがないようにファンクが指揮を執らなければならないのだ。研究者は平民出身の者もいて、身分の問題で物申せない場合もある。

 絶句しているとさらに追い打ちをかける内容が告げられた。

「それから、騎士団の方達は大丈夫ですか? 以前からファンクだ……伯爵にお伝えしてましたが、今支給されている魔道具を使い続けるとかなり身体に負担がかかるはずなんですが……」
「何だと!? それは真か!」

 その様な報告は上がってきていない。ファンクに伝えているというなら、彼奴(あやつ)が報告を止めているのだ。

「はい、最初に量産の話が出た時から報告していたんですが、聞いてないですか?」
「どのような状態になるのだ?」
「あの魔道具は火力が上がるんですが、長期的に使用すると武器の損傷が激しくて費用対効果が悪くなるんです。使用者にも影響があって魔力を過剰供給しすぎるので戦線離脱者が増えるはずなんですが……」

 すぐさま騎士団を調査したところ、エンリケスの指摘通りの状況だった。騎士団の予算はひっ迫していて、至る所に弊害が出ていた。騎士たちも体調不良を訴えるものが続出していて、訓練もままならない隊もあるという。

「このままでは国が傾くぞ……今すぐファンクを呼ぶのだ!!」