頬を染めて慕ってくださるジュリア様に私も嬉しくなって自然と口角が上がっている。考えてみれば、同性の友人は初めてかもしれない。アステル王国では社交界に出たときから蔑まれていたので、仲良くしてくれる同性すらいなかった。

「それよりも、どうしてあの様な怪しい商人に捕まっていたのですか?」
「あー、それは……わたし平民なのですが、実家の母が病気で定期的にお見舞いに行ってたんです。ところがあの商人が医者を買収して薬代を値上げしていて実家が借金まみれになっていて……妹の代わりに奴隷として連れていかれたのです」
「まあ、そうでしたの……悪どいことをする商人が捕まってよかったわ」

 ジュリア様がポカンとした顔で私を見つめている。何か変なことを言ったかと考えたけど心当たりはない。でも友人なんて初めてだから何かやってしまったのかもしれない。

「あの、ジュリア様? 私何かおかしなことを言ったかしら?」
「いえ、違うんです。ロザリア様は貴族のお嬢様だと聞いてたのに、わたしみたいな平民にも態度が変わらないから嬉しくて……」
「当然ですわ。国を根底から支えてるのは、その土地で逞しく生きる人たちですもの」

 この意見もアステル王国の王族として異端だと言われていた。王族としての矜持が足りないと言われ続けていたと思い出す。根本的に考え方が違っていたのだ。
 ジュリア様の笑顔を見れば、私はこのままでいいのだと思えた。