屋敷が静かになってから二十分後、カイル様がひとりの女性を抱きながら私たちの元へやってきた。

「父上! 母上! ジュリアを見つけました!!」
「カイルってば、もう恥ずかしいから降ろしてよー!」
「ダーメ。城に戻るまでは絶対に離さない」
「えええ! ウソでしょー!?」

 輝くような金色の髪にヘーゼルの瞳のジュリア様が涙目になっている。見つかってよかったのと、カイル様を見つめるアレスの眼差しが穏やかで私も嬉しさで笑顔になった。



 帝国軍が屋敷に到着して処理に当たるのを確認してから、ラクテウスに戻ってきた。ジュリア様によるとあの屋敷はある商会の拠点となっていて、違法に仕入れた商品や奴隷まで隠してあったそうだ。
 ジュリア様は奴隷として囚われていて、一週間後には売られる予定になっていた。

 カイル様が証拠まで吹き飛ばしそうになっていたのを慌てて止めて、証拠をまとめて一階のエントランスに置いてきたと話していたので、今頃は帝国軍は大忙しだろう。