「他の人もそうなの?」
「どうでしょう。城にいる者に聞いてみるのはいかがですか? 明日は素材の調達に行きますので、今日中に協力してもらうように手配しておきます」
「うん、ありがとう」

 翌日、番を伴侶にした竜人たちに話を聞き回ったところ、やはりポイントは魔力の質と(かぐわ)しい匂いがしたということだ。その情報から何かを読み取り個体を選別しているのかもしれない。

 他に仕入れた情報としては、竜人は番としか子を作らないということだ。唯一無二というだけはある。逆を返せば番以外とは子が作れない……?

 もしかしたら己の子孫を残すために本能的に相性のいい番を選んでいるのだとしたら、判断基準はありとあらゆる生体情報か。生体情報を増幅して同じものを拾い上げられれば、魔力が途絶えていても探せるかもしれない。
 それならば何が有効なのか試してみよう。



「お嬢様、ただいま戻りました」
「アレス。おかえりなさい」
「開発は順調ですか?」
「うーん、色々試しているところよ」

 夕日が山の向こうに隠れたころアレスが戻ってきた。頼んだ素材は一通り仕入れてくれている。その中でも素材の効果を増幅させる水晶を手に取った。

「それと、こちらの素材がたまたま手に入りました。お役に立つかと思うのですが、いかがですか?」