「悠仁なの?」

(ユージーンが悠仁君? そんな、まさか)


 ユージーンと悠仁君はちっとも似た所がない。レイラを通じて知り合ったから、よく知らないせいもあるけど、少なくとも性格は正反対だったと思う。悠仁君はユージーンみたいな狡猾さとか、全く持ち合わせていなかったから。


「俺、言ったよね? 栞奈(かんな)を虐めるなって。お前のことは絶対に好きにならないって。俺は栞奈が好きだから」

「そ、れは……」


 ポロポロと涙を流すレイラを前に、呆気にとられる。

 嘘でしょう?
 私が標的にされたのは、そんなことが理由だったの? 悠仁君が私を好きになったから? 全く予想だにしていなかった展開だ。


「俺はね、反省したんだ。大人しくしていても、大事なものは守れない。多少ズルをしても、性格が悪いと罵られても、戦わなければ。今度こそ栞奈を――――カンナを守れるように」


 いつから彼はそんな風に想ってくれていたのだろう。全然、気づかなかった。