***


(全く、懲りないわねぇ)


 以降も、レイラの愚行は続く。

 私に直接手を下すのが無理だと悟ったレイラは、今度は自作自演を始めた。


「カンナ様にブローチを隠されたの! お父様に戴いた、大事なものでしたのに!」


 めそめそと大袈裟に泣く彼女に、呆れてものが言えない。
 レイラの教室に行ったことすらない私が、一体どうやって彼女の私物を隠すっていうのだろう?
 そう疑問を呈したら、レイラはニヤリと口角を上げた。


「そんなの、口では何とでも言えますわ! 証拠は何処にも無いでしょう? あなたがやっていないっていう証拠!」

「ありますわよ」


 おかしすぎて笑えて来る。
 レイラ対策はバッチリ。身の潔白を確保するため、私は常に周りに人を置くようにしている。学園内で一人になることは決して無い。


 また、レイラはある時は男性を差し向け、私の不貞疑惑を作り上げようとした。
 当然護衛を付けているし、彼女の目論見が上手くいく筈はない。