〇翌朝、潤がスマホを見るとメッセージが入っていた。
 昨夜の23時過ぎ、『返事遅くなってごめん! 誘ってくれてありがとう! 予定は確認してみるから待ってほしい』『明日は朝ギリギリになりそうだから、迎えに行けないかも。ごめん』とある。
 潤は『気にしないで。学校でね』『(明るいスタンプ)』と返す。


〇潤は一人で通学。
 葉澄と通学した昨日だけがイレギュラーなのに、駅や道で無意識に葉澄の姿を探してしまう。


〇教室。葉澄は遅刻ギリギリに来た。HR中に滑り込み「すみません」。
 担任が「お。御門。しょうがないからセーフにしてやるな」と言っている。

 HRが終わると葉澄に謝られた。

葉澄「ごめん、佐々木さん。昨日連絡返せなくて」
潤「ううん! 気にしないで。遅くまでお仕事お疲れ様」
葉澄「ほんと……ごめん。それから、週末なんだけど……しばらく撮影が詰まってて……」

 しょんぼりしている葉澄。

潤「映画に出るって言ってたもんね。忙しい中誘っちゃってこっちこそごめん」
葉澄「あ……」

 葉澄は捨てられた子どものような目で潤を見るが、すぐに何事もなかったように笑った。

葉澄「せっかくだし、友達と行ってきて」
潤「うん、そうする」

 潤は、葉澄が気に病まないように明るく返事をする。
 葉澄は潤に見えないところで暗い表情。


〇授業中。
 真面目に授業を聞き、当てられてもきちんと答える葉澄。

潤(御門くん、すごいな。忙しいのに勉強も完璧で)
潤(やっぱり、わたしじゃ釣り合わないような――)

彩香の『お試し期間っていうのはこっちも試されてるのよ!』というセリフが強く頭によぎる潤。


〇体育の授業。女子は体育館でバレーボールをやっている。
 考え事をしていて頭にボールがぼこんと当たる潤。

クラスメイト「潤~?」
潤「ハッ、ごめん!」


〇体育が終わって教室に戻る潤。
 男子は既に戻っていたが葉澄だけがいない。

潤「山田くん、御門くんって……」
クラスメイト山田「御門、具合悪いって言って保健室行ったぜ」
潤「保健室⁉」

 次は移動教室。ちひろと彩香は教科書を準備して潤を呼んだ。

ちひろ「潤、行くよ~」
潤「あ、うん!」

 ちひろたちと教室を出るも、途中で足を止めてしまう。

潤「ごめん、わたし……」

 へらっと笑って嘘をついた。

潤「お、お腹痛くて。保健室行くね!」

 走り去る潤。
 そんなバレバレの嘘に、ちひろと彩香は「おやおや」「まあまあ」とにやにや。
 潤が葉澄の元に向かったのはバレバレの様子。