ジルは、公演の時と同じようにネットの下から手を伸ばし、ネットの端を引き下げるようにして華麗にくるりとネット上に上がった。
すると……。

Hi hi hi hi(ハイ ハイ ハイ ハイ)Hi hi hi hi(ハイ ハイ ハイ ハイ)♪』

メンバーたちが一斉にコールする。
私に、ジルの場所まで『愛のダイブ』をしろ、と。

吊り梯子のポールにしがみ付いていると、私を支えているメンバーが教えてくれた。

このサーカス団では、愛の告白をする際に、必ずここから飛び降りて愛を確かめ合うのだとか。
何だ、それ…。
そんなこと、知ったこっちゃないわよっ!
いい迷惑だから!!

当事者のジルが飛び降りても何の度胸試しにもならないから、こうして私が飛び降りないとならないらしい。
……ジルが愛の告白をするためには。

完全に涙目の私は、手足の震えが止まらない。
下に愛しのダーリンがいるのは分かるけど、バンジージャンプだってしたことないのに。

「ナナ~っ、大丈夫だから、おいでぇ~~!」

私が飛び降りないと収拾がつかないというか、終わりそうにない雰囲気だ。

仕方ない。
こうなったらなるようになる!!

ササっと終わりにして、ジルに目一杯甘えよう……。

「フゥ~……行くよ?」

皆が見守る中、私はぎゅっと目を瞑って飛び降りた。

胃が浮くような浮遊感を感じた、次の瞬間にはネットからの衝撃に驚く。
そして、ワンバウンドした私の体をジルがしっかりとキャッチしてくれた。

それも、お姫様抱っこ状態で。