「…ーーとれた」


 という声が聞こえて目を開けると、彼の手には1枚の桜の花びらが。


 …あぁ、花びらとってくれたんだ。


「…ありがとう、つばちゃん」


 私は笑顔でそう言った。


 …すると次の瞬間。


「…っ」


 ふわっ。


 と、急にシトラスの香りが私を包み込んだ。


「…え?」


 突然のことすぎて、頭が追いつかない。


 私…、今、つばちゃんに抱きしめられて、る…!?


 そのことを自覚して、一気に私の顔は熱を帯びる。


「…みのり」


 と、耳元でささやくから、私はビクッと震える。


「えっ、ど、どうしたのつばちゃ…」