「…っ、つばちゃん、あのさーー」


 私はこれまで私が彼に抱いていた想いを伝えようと話を切り出し、彼に目線を移す。


 彼も私のことをじっと見つめる。


 …ーーが、それ以上の言葉が出なかった。


 今日でもう永遠に会えないかもしれないって言うのに、私はまだ関係性が壊れるのを恐れているらしい。


 …いくじなし。


 私は私自身に、心の中でそう言った。


「みのり、ちょっとじっとしてて」


「…えっ」


 つばちゃんは突然そう言うと、少しだけ空けていた距離を詰めた。


 …な、なに!?


 私はまるで石のように固まっていた。


 顔にふっと影が落ちる。


 彼のシトラスの香りが鼻をかすめる。


 私はぎゅっと目をつぶった。