つばちゃんに連れられて、私は学校から少し離れた、公園にやってきた。


 そして私たちはその中心にある大きな桜の木の下にあるベンチに、少しだけ間を空けて座った。


 座ってから少しの間は、2人とも口を開かなかった。


 いつもは軽口を叩き合う仲だけど、卒業式という魔法がそうさせていた。


 上から降ってくる桜の花びらを眺めていると、あのさ、とつばちゃんが沈黙を破った。


「…みのり、県外行くんだよな」


 つばちゃんの言葉に、私はゆっくりとうなずく。


 私は夢を追いかけるため、県外の大学に進学することが決まってる。


 …でも、つばちゃんは県内にとどまる。


 つまり、私たちは離れ離れになってしまうんだ。


「そっか…」


 つばちゃんはそう言ったっきり、また口をつぐんだ。