「昨夜遅く、とても憤慨した様子で帰って来られて…当たり散らしていたので…。」

渋い顔をしながら正臣は答える。

「自分も少し感情的になってしまい仲違いしてしまったので…香世殿に申し訳なく思っています。」

「父はあの通り気性が荒く、
自分の思い通りに他人を動かしたいような
人ですから、
二階堂様が気に止む事ではありません。
香世ちゃんとの婚約の件は私が認めております。
どうか香世ちゃんを幸せにしてやって下さい。」
姉として深々と頭を下げる。

「心強いお言葉ありがとうございます。」
正臣はホッとして思わず笑みが溢れる。

「あの、つまらない物ですがこちらをお受け取り下さい。
これは香世殿が気に入った生菓子なのですが、是非皆さんで食べて頂きたいと思い持参しました。」
正臣は手土産を手渡す。

「お気遣いありがとうございます。
良かったらみんなで頂きませんか?」

姉がそう言いながらマサに貰った手土産を
手渡す。

「あら、和菓子に紅茶は合わなかったかもしれません。入れ直しましょうか。」
マサが気遣う。

「マサさん大丈夫です。
きっとあのお菓子なら紅茶も合うはずです。」
涙目を拭きながら香世が言う。

「では、こちらの生菓子をありがたく頂戴致します。」