でも、彼女の病室から泣き声が聞こえた。この声は間違いなく秋華ちゃんの声だけど、聞いたことがない声だった。覗いてみると毛布にくるまって声にならない声を上げて泣いている秋華ちゃんがいた。
「大丈夫?なんで泣いているか教えて?」
我慢強い彼女が泣いている時点で大丈夫じゃないことは分かっていた。でも、気休めになるかも分からない言葉をかけて、涙のわけを教わることが、俺に出来る最大限のことだ。
しばらく泣いたあと、秋華ちゃんは涙のわけを教えてくれた。三月に演劇部のコンクールがあって、でも退院できるか分からなくて。それまでに間に合うか、部活のみんなに置いていかれないか、それが不安で仕方なかったのだと。俺は自分を殴りたくなった。どうして早く声をかけなかったのか。その罪悪感から、俺はこういつの間に口にしていた。
「秋華ちゃん、もっと頼って?こんなんでも医者だし。あと、タメ口で話して欲しい。俺お堅いの無理だから!秋華ちゃんの時間をちょうだい!症状は、あと二ヶ月で軽くする!治すことは出来なくても、軽くすることはできるから」
そう言うと、秋華ちゃんは目を見開いたあとゆっ