「ひかる。」

「……っ」

いつにも増して怖い、真剣な顔をしたお姉ちゃんが来た。

私は怒られてしまうのかと覚悟していたが、お姉ちゃんが発したのはとても意外な言葉だった。

「ごめんなさい」

九十度を超えているのではないかと思うほどの深いお辞儀と申し訳ないという言葉が私の聴覚、視覚を刺激した。

最初に思ったのは、今更?だった。

でも次に思ったのは、やっとかだった。

「今更とか思っているかもしれない。でも、私の中でずっと踏ん切りがつけれなくて。ごめん。思春期の過ちって言ったら軽いも
のに見えるかもだけれど。」

私だって、私だって。

そう思って言う言葉を整理する前に話してしまった。

「その過ちとやらのせいで私は鬱病になって、好きな人を作るのにも苦労して、恋バナを聞いただけでも吐き気がするようになっ
たんだよ。」

「……」

「もう別に好きな人はできたから大丈夫。でも、……そのトラウマのせいで、私は!私は!」

「……っ?!」

私の泣き顔にお姉ちゃんは驚いていた。

私が鬱のときでも、泣き顔だけは家族にすら見せていなかったから。

私はそれでもかまわずに泣きながら話続けた。

「……告白できない」

「知ってる。だから、今日はそれも。私のことを気にして告白できていないのなら、気にしないで。私はもう絶対にそんなことし
ないって死の世界と約束しているから」

得意げそうな顔を見せたお姉ちゃんに笑いが込み上げてきた。