『……ひかる、好きな人いる?』

私は作戦を実行しようと、十歳のひかるにそんなことを聞いていた。

十歳のひかるにそんなことわかるはずがないのに。

でも、トラウマを植え付けるにはこのくらいの年でもいいだろう。

そのせいで溝ができるなんて思いもしてなかった。

わかっていなかったのは私の方だったのかもしれない。

何回も何回もひかるの好きな人を奪い取った。

私が付き合うとかじゃなくて。ただ相手に私を好きになってもらうだけ。

私には永人だけだったから。

『……お姉ちゃん。』

『何、どうしたの?』

震えた声で話している彼女を見て、思春期真っただ中の私は胸がゾクゾクとしていた。

心の片隅に罪悪感があったのを押しつぶしていた。