なんで、私だけ。

そう思った夜よりも、

なんでひかるだけ。

と思った夜が多かった。

私よりも抜群な顔と明るい性格。

ひかるは十歳ながらにも気使いがすごくできたから、その態度にも腹が立った。

なんでばっかりの日々。

『ひかるさ、永人のことどう思っている?』

『え、永人さん?なんとも』

私は思い切って聞いてみた。でも帰ってきたのは腹が立つような返答のみ。

なんとも思っていないひかるに恋して傷ついた永人を見ていたのもつらかった。

ひかるなんていなければ私の恋だって、永人の恋だって傷つかずに済んだのに。

そう卑屈になっていく私が本当は嫌だったのだろう。

でも思春期とは嫌なもので、私はその気持ちを押さえこんでいた。

純粋なひかるを置いてずっと私だけ悩んでいた。