「生、あたし…」 言わなきゃ。 あなたが今でも好きなんだって。 言わなきゃ。 その時、キラリと光るものに邪魔をされた。 キラリ、キラリと… それはほんの少しの屋上のドアから入ってくる光りに反射して光っていた。 ……彼の左指で。 「生…結婚、したんだ」 「あ、いや。違うよ。これからするんだ」 生が微笑む。 胸にズキンと痛みが走る。 またあたしは、有りもしない事に可能性をかけていたなんて。