あたしは屋上にむかった。

彼がもしいるなら。

あの頃定番だった、あたし達の待ち合わせ場所だったから。

覚えてるなら…

この扉のむこうにいるはず。

薄暗い中にある屋上のドアに手をかけ回す。

ガチャガチャ…

「え?」

鍵がかかってる。

…そうか、冬期だから閉まってるんだ。

一瞬の期待もすぐに打ち砕かれ、あたしはドアの前でため息をついた。

そんなうまい展開なんかないか…。