「いつになったらコウって呼んでくれるんだか」

耳元で囁く。

「なっ…!」

「なーんてね」

笑って矢田は車に乗り込む。

真っ赤な顔のあたしをからかいながら。

「もぅ!」

「果歩、早くしろよ!」

「わかってるわよ!」


あの瞬間から離れない矢田の音。

あたしは今も。

虜になってる。