「あ」

「あ…」

立ち上がった先に、同じクラスの矢田がいた。

矢田は先月転校してきたばかりで。

でも。

綺麗な顔と、その顔に似合わない男前な性格で、今やクラスの人気者となっていた。

クラスだけじゃなく、学校中の女子が騒いでる。

まぁ、あたしは興味ないけどね。

特に言葉を交わす事なく、あたしは矢田の隣を通りすぎようとした。

「…何聞いてたの?」

「は?」

いきなり声をかけられた。