俺は読んでいた本を落とし、店から走り出した。

ハァハァと息を切らし、それでも全力で走り続けた。


『あたたまりたかったのは』


何処に向かっているのか、あてなんか何もない。

でも俺は走った。

気付いたんだよ。

今さらだけど、気付いちまったんだ。


『君だったんだよ』


もう足が動かないと歩き始めたその場所は。

初めて出会った気持ちの良い土手。