それと同時にカットがかかる。



「千秋くんいい感じだよー!」

「ありがとうございます!愛華ちゃん、大丈夫?」



褒められてるってことはいいシーンが撮れたのだろうか。

それは良かった。

一安心だ。

砂浜に座ったままの私に、手を差し伸ばしてくれる千秋くん。



「ちょっと腰抜かしちゃったみたい……」

「じゃあ俺に捕まって?」

「へっ……きゃっ!」



私の手を取って、千秋くんは私を抱き上げた。

私は今、アイドルにお姫様抱っこをされている。

千秋くんファンは誰しも願ったことがあるだろう。

「おっ、いいね」なんて監督が言って、カメラをこちらへ向けられていた。

千秋くんの顔が近くにあってドキドキする。

鼻筋がスっと通っていて、まつ毛も長い。

イケメンの顔をこんなにまじまじと見たのは、初めてだ。



「ん?俺の顔に何かついてる?」

「ううん!何もっ!」



千秋くんに気づかれて、咄嗟に否定した。

目がぱっちりあった時、ドキドキしすぎてどうにかなりそうだった。

アイドルは危険すぎる。