「えぇっと、君が助っ人の愛華ちゃんかな?」

「あっ、監督。そうです、僕らの友達の愛華ちゃん」



声の主は、髭を生やして帽子をかぶり、眼鏡をかけている監督と呼ばれる人。

颯汰くんから紹介してもらい、私もぺこりと頭をさげた。



「初めまして!咲野 愛華と言います」

「うん。イメージにぴったりな子だね!早速着替えて撮影させてくれるかい?」



顎髭に手を当てて、私を見定めるように見てからうんと頷いた監督さん。



「あの、本当に私でいいんでしょうか?」

「愛華ちゃんさえ良ければお願いしたい!あっ、顔とかは出ないから安心して」

「はい、わかりました」



顔が出ないのはちょっぴり安心かもしれない。

監督さんからもオッケーをもらい、ホッとしたのはつかの間で、潮見さんにテントの中へと連れていかれる。



「まずこの衣装に着替えてくれるかな?その後はメイクね」

「は、はい!」



用意されていたのは彼らの衣装とよく合いそうな、真っ白いふわっとしたシフォンのワンピース。

こんな可愛い衣装を私が着ていいのか不安になる。

撮影が止まっているので、待たせるわけにも行かず、急いで衣装に着替えた。