会話を聞いているには、相手は颯汰くんっぽい。
しばらく話して、廉くんは電話を切った。
「入口で集合して帰るって」
「……そっか」
疑われている以上、ここにいるのは危険だもんね。
辺りを確認してから、私たちは物陰から出て、入口へと向かった。
幸いにもその途中で気づかれることはなかった。
入口に行くと、もうすでに3人が揃っていた。
「巻き込んじゃってごめんね、愛華ちゃん」
「ううん、大丈夫」
颯汰くんに謝られて、手を振りながら言葉を返す。
彼らがアイドルだってことを忘れて楽しみすぎていた。
注意力がなかった私も悪い。
「でも楽しかったよ、ありがとう」
「サンキュー」
「ありがと、愛華ちゃんっ!」
「こちらこそ!本当に楽しかった!」
「それはよかった」
夢のようなシャイニングのみんなとのテーマパークデート。
きっと今日のことは一生の思い出になる。
「あっ、これ」
颯汰くんに差し出されたのは、みんなのサインが書かれている色紙。
それが、2枚。
「え、なんで……」
「愛華ちゃんにも持っていて欲しくて」
「本当に!?嬉しい!ありがとうっ」
結菜もきっと喜んでくれる。
それ以上に喜んでいるのは、私自身だった。
まさか彼らの直筆サインを私も貰えるとは思っていなかったから。
これは家宝にしよう。
私はそう心に決めた。