「そんな大げさな。これくらいで優しいなんて言ってたら、世の中優しい人だらけだよー」 ぽふぽふっと頭を撫でながら、先輩が優しい瞳でくすくすと笑った。 「家まで送ってもらってすみません。ありがとうございました」 ウチの門の前で、ぺこりと先輩に頭を下げる。 「動悸はどう? 少しはおさまった?」 「はい、だいぶよくなってきました」 制服の胸のあたりから手を離し、もう一度先輩にお礼を言う。