何度も何度も念押しをして、それから小嶋先輩はこう言った。 「やっぱり彼女には名前を呼ばれたいじゃん。だから“朝陽くん”ね。言ってみて」 「え、でも」 「でもじゃなくて、ほら。あ・さ・ひ・く・ん♪ 練習、練習」 人差し指を指揮者のように振って、先輩はうっとりしたように目を閉じた。 「さぁ、いつでもどうぞ」 そういう先輩はキラキラしてる。