「やっと着いた!!江ノ島!!」



僕は両腕を空へ向かって伸ばしながら、
そう言った。

ゆいはそんな僕を置いて
スタスタと歩き始める。

今日はいつもに増してなんだか
引っ張って連れていかれている感覚だなぁと
苦笑しながら、ゆいの後に続く。


『江ノ島』はマップで見る限り広い場所で、
大きな橋を渡った先には
『弁財天仲見世通り』という
食べ物系統のお店はもちろん、
お土産屋さんや旅館などが
所狭しと並んでいる大通りがすぐに見える。

僕らはその
『弁財天仲見世通り』を通っていくと、
『江島神社』の横を通り抜け、
少し歩いた先にあった『海花亭』という
海鮮系の食べ物屋さんの前に立った。



「あれ?ゆい、入らないの?」

「ここで、お昼を食べた。
15時くらいに。随分、遅かったの。」

「ゆい?」



ゆいはそれだけ言うと
泣きそうな顔をしたまま
どこかへ走っていく。

「ゆい!待って!」と
僕は大きな声で叫ぶと
ゆいの後を追いかけた。