「和田塚海人さん。」

『……はい。』

「私と、結婚してください。」



私は、今までにないくらいの笑顔で
そういうと、
海人はつられるように微笑んだ。

それから私たちは
オレンジ色に染まる空の下で、
そっと口づけを交わした。

それが合図のように、
海人の体はだんだん透けていく。


『あーあ……。もう時間みたいだ。』

「……海人、
私また海人にこうして会えて嬉しかったよ。
プロポーズもされて嬉しかった。」

『僕もだよ。
でも、もしも僕以外に好きな人が出来たら
その人と幸せになってね。
でも、わがままだけど僕の事は頭の片隅に
残してくれてると嬉しいな。』

「海人以外に好きになる人なんて居ないし、
絶対に忘れるわけない。」



私はそうきっぱり言い切ると、
海人は嬉しそうに笑う。

そして、消えてしまう前に
最後にもう一度、口づけを交わした。