未来の彼を考えるなら、自分の言動をひたすらに後悔させるべきなのだ。


後悔して、向き合って、乗り越えて。


そうして、昔のNに戻ってはくれないだろうか。


泣きじゃくる彼を目の前にしてでも慰めることはせず、私の好きなNに戻ってくれる事だけを切に祈っていた。





そんな自分勝手な願いは簡単に叶ったようだ。


唯一の肉親を失うのがよほど怖いのだろう。


Nから先輩グループの話を聞くことがだんだんとなくなり、遂には転校までもした。


それが、新しい自分になるために必要な彼なりの決意だったのだ。


毎日学校に通い、バイトを始め、タバコを辞めた。


家族とも、ほんの少しだけ打ち解けたようだった。


Nは特段私に感謝をしているらしかった。


あの時離れていかなかったのは私だけなのだから。


世間からも学校からも友達からも、家族からも距離を置かれていた彼が頼ることができたのは、本当に私だけだったのだと。


そう実感してまた満たされた。