それを目にした瞬間、服も適当に化粧もせず彼の家に駆けつけた。


義父と義妹は病院に行っており、現実を突きつけられることを恐れたNだけが残っていた。


彼にとって唯一の肉親である母親が倒れた。


しかも原因は疲労。


「俺のせいだ……」


Nは確実に落ち込んでいた。


ベットの上で蹲り、泣き声を押し殺していた。


乱れる呼吸と震える背中。


私は無言でただ寄り添うことしかしなかった。


"大丈夫、あなたのせいじゃないよ"


その言葉をかけるべきなのかもしれない。


そうしたら、少しでも心が軽くなるのかもしれない。


でもそれは今の彼にとって都合のいい言葉なだけ。


その言葉で立ち直ってしまったら、きっと同じことを2度3度と繰り返す。