「今時間ある?」


何ヶ月連絡を取らなかったとしても、彼は不意に電話をかけてくる。


「どうしたの?」


「ちょっと相談があって」


「いつもの友達は?」


「あいつらとは真剣な話できる仲じゃないし」


薄っぺらい付き合いばかりをしているらしい彼は、なにか事があるといつも私を頼ってきた。


友達に裏切られた事も、日頃の不満も、家族のことも。


「こんなこと言えるのユキだけだよ」


嘘か誠か、そんなことを口走る彼が好きだった。


偽りの強さで身を固めた彼の弱さを知ることができるのは、たった1人私だけなのだと。


だから私は離れられなかった。


何かめんどくさいことが起こるとすぐに離れていくあの人たちと私は違う。


きっとこれは優越感なのだと思う。