"夜中に出歩いてたら補導されちゃった"


"今週1回も学校行ってないわ"


"中学に忍び込んだ"


そんなことを武勇伝みたいに話す彼が、大嫌いだった。


一般的な高校生よりも少し悪い自分に酔っているみたいだった。


でも、私と接している時の彼は悪い部分を微塵も感じさせない。


話だけ聞くばかりで実際目にしたことのなかった私は、本当に彼がそんなことをしているのか分からなかった。


全て嘘ならと何度も願った。


ただ、SNSに投稿される写真と確実に香るタバコの匂いが、私を無理に信じさせようとする。


いやだ、信じたくない。


だって、私といる時のNはこんなにも優しいのに。


中学の頃と何も変わっていないのに。


辞めなよ、そんなこと。


そう思いながらも、沢山いる友達のうちの一人である私が、彼の行動を制限する権利はない。


もう一度私の好きだった彼に戻って欲しいとは思いつつ、そう仕方も分からなかった。