「…よし、シルナ。じゃあ、こっちに超巨大なケーキがあると思って飛べ」
「ケーキ!?」
食いついた。
「あぁ、お前の好きなチョコケーキだ」
「チョコ…!」
「チョコクリームたっぷりで」
「クリーム…!」
「イチゴもたくさん乗ってる」
「イチゴ…!」
「そうだ。そんな魅惑のチョコケーキがここにあると思って、思いっきり飛ぶんだ」
「チョコケーキ、チョコケーキ…よし!絶対辿り着いてみせるよ!」
洗脳完了。
こんな状況で、こんなおまじないに、どれくらい効果があるのかは分からないが。
何もしないよりはマシだ。
俺達を見て、チェシャ猫は相変わらずにやにやしているが。
手を出してこないなら、あいつは放置で良い。
「…よし、いつでも良いぞ、シルナ」
俺は食料庫の縁に立って、飛んでくるシルナを待ち受けた。
いざとなったら、こちらからも手を伸ばそう。
一緒に落ちるかもしれないが、一人で落ちるよりは遥かにマシだから、別に良いや。
「チョコケーキ、チョコケーキ…。…チョコケーキ!!」
シルナはチョコケーキを連呼しながら、助走をつけて飛んだ。
シルナにしては、相当頑張ってる。
ふわりと宙を浮いたシルナの身体が、こちらに迫ってくる。
…しかし。
「…くっ…!」
…その距離は、僅かに足りない。
運動音痴のせいか。それともシルナの方が重いのか。
そんなことはどうでも良い。
俺は咄嗟に手を伸ばし、落ちるシルナの腕を掴んだ。
肩、脱臼しそうなくらい痛かったが。
今は、それどころではなかった。
「大丈夫か、シルナ!?」
「う、うぐ…お、落ちる…!」
「引っ張るから、しっかり掴まってろ!」
俺は両手でシルナの腕を掴み、シルナもまた、両手で俺の腕にしがみついた。
よし、それで良い。
あとは、俺が全力で引き上げるのみ。
さっきから、ネズミから逃げたり、テーブルクロスをつたってテーブルに登ったり。
食器にしがみついて食器棚に飛び移ったり、肩車されて鍋をよじ登ったりと。
正直、疲労困憊して、そろそろ身体が悲鳴をあげていたが。
そんな甘っちょろいこと言ってる場合じゃない。
命が懸かってるのだ。やるしかない。
明日は筋肉痛確定だな。
俺達に明日があれば、の話だが。
まずは、生きて陽の目を拝むことが最優先だ。
「ふぐっ…!重い…!お前、もっと痩せろよ…!」
「そ、そんなこと言われても…」
「こ、の…デブ学院長め…!」
悪態をつきながら、俺は全力でシルナを引っ張り上げ。
ついに、シルナを食料庫に引き上げることに成功した。
…これで、無事に二人共、食料庫に飛び移れたことになる。
安堵と疲労感のあまり、その場に崩れ落ちてしまった。
…はぁ、死ぬかと思った…。
「ケーキ!?」
食いついた。
「あぁ、お前の好きなチョコケーキだ」
「チョコ…!」
「チョコクリームたっぷりで」
「クリーム…!」
「イチゴもたくさん乗ってる」
「イチゴ…!」
「そうだ。そんな魅惑のチョコケーキがここにあると思って、思いっきり飛ぶんだ」
「チョコケーキ、チョコケーキ…よし!絶対辿り着いてみせるよ!」
洗脳完了。
こんな状況で、こんなおまじないに、どれくらい効果があるのかは分からないが。
何もしないよりはマシだ。
俺達を見て、チェシャ猫は相変わらずにやにやしているが。
手を出してこないなら、あいつは放置で良い。
「…よし、いつでも良いぞ、シルナ」
俺は食料庫の縁に立って、飛んでくるシルナを待ち受けた。
いざとなったら、こちらからも手を伸ばそう。
一緒に落ちるかもしれないが、一人で落ちるよりは遥かにマシだから、別に良いや。
「チョコケーキ、チョコケーキ…。…チョコケーキ!!」
シルナはチョコケーキを連呼しながら、助走をつけて飛んだ。
シルナにしては、相当頑張ってる。
ふわりと宙を浮いたシルナの身体が、こちらに迫ってくる。
…しかし。
「…くっ…!」
…その距離は、僅かに足りない。
運動音痴のせいか。それともシルナの方が重いのか。
そんなことはどうでも良い。
俺は咄嗟に手を伸ばし、落ちるシルナの腕を掴んだ。
肩、脱臼しそうなくらい痛かったが。
今は、それどころではなかった。
「大丈夫か、シルナ!?」
「う、うぐ…お、落ちる…!」
「引っ張るから、しっかり掴まってろ!」
俺は両手でシルナの腕を掴み、シルナもまた、両手で俺の腕にしがみついた。
よし、それで良い。
あとは、俺が全力で引き上げるのみ。
さっきから、ネズミから逃げたり、テーブルクロスをつたってテーブルに登ったり。
食器にしがみついて食器棚に飛び移ったり、肩車されて鍋をよじ登ったりと。
正直、疲労困憊して、そろそろ身体が悲鳴をあげていたが。
そんな甘っちょろいこと言ってる場合じゃない。
命が懸かってるのだ。やるしかない。
明日は筋肉痛確定だな。
俺達に明日があれば、の話だが。
まずは、生きて陽の目を拝むことが最優先だ。
「ふぐっ…!重い…!お前、もっと痩せろよ…!」
「そ、そんなこと言われても…」
「こ、の…デブ学院長め…!」
悪態をつきながら、俺は全力でシルナを引っ張り上げ。
ついに、シルナを食料庫に引き上げることに成功した。
…これで、無事に二人共、食料庫に飛び移れたことになる。
安堵と疲労感のあまり、その場に崩れ落ちてしまった。
…はぁ、死ぬかと思った…。


