その後、俺はベリクリーデの捕まえたミミズと、手作りの釣り竿を持って。

魔導隊舎から一番近くにある川に向かった。

ベリクリーデはマグロを釣る、とか言ってたから、海に行きたかったのかもしれないが。

ここから海に行こうと思ったら、泊まりがけの旅になってしまう。

たまにはそういうのも良いかもしれないが、今日は初めてだし。

近場で釣り糸を垂らして、感触を確かめるだけで良いだろう。

ベリクリーデも了承したので、俺達は川に向かった。

しかしあれだよな。川魚って、釣るの難しいって言うよな。

はたして、魚釣り経験ゼロのベリクリーデが、何かを釣り上げることは出来るのだろうか?

何も釣れない魚釣りほど、つまらないものはないだろう。

…ま、来てしまったのだから、今更つべこべ言っても仕方ない。

食べられなくても、鯉やフナでも良いから、何かは釣れると良いな。

「よし、ジュリス。釣ろう」

「あぁ、頑張れ」

「マグロ釣るよ。マグロ」

マグロは釣れない。あれは海の生き物だ。

まぁ、夢を持つのは自由だからな。存分に夢を見ると良い。

俺は、嬉しそうに釣り糸を垂らすベリクリーデの横に腰を下ろした。

せめて、何か釣れると良いのだが…。